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2006年7月 |
去る4月23日「我孫子市九条の会 発足のつどい」での我孫子市九条の会の呼びかけ人の一人である若桑みどりさんが「憲法九条と男女平等を定めた二十四条について」の講演をされました。下記はその骨子です。
9条と24条を守る
我孫子市九条の会 若桑 みどり
若桑みどりさん 東京芸術大学卒業、ローマ大学留学、東京芸術大学教授、千葉大学教授を経て2001年から川村学園女子大学へ。 専門は西洋美術史、表象文化史、ジェンダー史。ジェンダー文化論に関する主な業績は「薔薇のイコノロジー」(青土社)、「都市のイコノロジー」(青土社)、「女性画家列伝」(岩波新書)、「隠された視線−浮世絵・洋画の女性裸体像」(岩波書店)、「戦争がつくる女性像」(筑摩学芸文庫)、「絵画を読む」(NHK 出版)、「象徴の女性像−ジェンダー史からみた家父長制社会における女性表象」(筑摩書房)、「戦争とジェンダー」(大月書店)など多数 |
小泉政権は憲法改悪ばかりでなく、男女共同参画においても後退しようとしています。我孫子市では「男女共同参画条例」が僅差で議会を通りましたが、千葉県では流産し、『千葉県女性センター』も廃止されるでしょう。石原都政下では、日の丸・君が代の強制とともに児童・生徒の男女混合名簿を作ってはいけないとか、ジェンダーという言葉を使ってはならないなどの激しいジェンダーバッシングが行われています。
憲法を守ることは明白な正義ではありますが、今、憲法改悪にかかわるすべてのメカニズムを包括的に把握する必要があります。とりわけ憲法9条と24条を守ることは密接に関わり合っていることを理解する必要があります。
『神道(しんとう)政治連盟(小泉・安倍・麻生・石原なども所属している)』を中心とする右翼ナショナリズムが、「戦争をすること」と「男女差別」を、車の両輪のように一対の運動として推し進めていて、その背景のもとに、戦争をできる国にするために、憲法が改正されようとし、男女差別が進められようとしています。
ではなぜ右翼ナショナリズムの人たちが戦争をするために男女差別を復活させようとしているのでしょうか。
右翼ナショナリズム思想家たちは、個人を男らしさ・女らしさというイメージで分断し、人間づくりの場としての家庭に、性別による役割分担を持ちこみ、もって良妻賢母的な「女らしい女」と、そのような女を守る「男らしい強い男」という家族像を喧伝しています。
個人の尊重に基盤を置き、個人の権利を守り、国民主権の基に国家を縛ることができるという現憲法の精神に反し、個人を集団の中にとりこんで、家族を構築させて、その家族を統括する社会・国家の再現がもくろまれているのです。
男女の性別役割による家族を国家基盤とし、一つの家から一人の兵を出す家族単位の徴兵を行える軍事国家の構築がねらいです。
戦後60年の平和の中で成長した若者たちを、「国を愛し守るため」という国家中心のムーブメントでは戦争に出かけさせることとは容易なことではないので、「愛する人のため」に国を守る男が男らしいというイメージ作りをしようとしているのです。
『新しい教科書をつくる会』の「歴史」「公民」の教科書は侵略戦争を美化し、従軍慰安婦問題を削除しています。
なぜ戦後民主義の歴史に逆行し、侵略戦争肯定の歴史認識を表出させて、戦争をする国に変わらせようとしているのでしょうか。
強い手法をもった企業が、国を超えて世界経済支配を拡大させており、アメリカ主導によるネオリベラリズム(新自由主義)を各国が導入し、日本も1980年代より各種国営事業が民営化されましたが、特に小泉さんは郵政民営化、各種規制緩和、社会保障の見直しなどを行っています。その結果、格差社会と下流社会の拡大がなされましたが、小泉さんは「小さな政府・自己責任論」を主張して、アメリカのとる覇権主義に日本も加わろうとしているわけです。
戦争とは国家が国民や若者の生命を国家的利益のために使う暴力装置です。またかって戦争のない時代もあり、戦争は人類の宿命では決してありません。
『男たちの大和』はゴージャスな戦争映画ですが、恋人を守るために戦争に行った若者が生き残り、守られる立場の女性が原子爆弾で死ぬというラストシーンが設定されました。このラストシーンは、監督の抵抗メッセージでした。原水爆や原子兵器のある現代の戦争では女性を守ることはできません。
戦争は民族・人類の消滅につながります。
男女の両性の差は生物学的なものにすぎません。いのちへの愛は、男女ともに必要であり、やさしさや思いやりは男性の弱さではなく必要な人間性です。責任感・勇気・行動力は女性にも必要なことです。
2005年10月28日発表の『新憲法草案』では男女平等を定めた24条を変えることは引っ込められましたが、いずれ復活するでしょう。生命への尊重は母親ばかりの専売特許ではなく、男子にも染みこますべきであり、戦争のできる国にしないために、男女共同参画を進めるべきです。
愛するものを守りたいならば戦争をしないことです。
「『九条の会』全国交流集会」(6月10日)報告
全国「九条の会」は、発足から2年を期して、全国各地で活発な活動をしている貴重な経験を学び合いながら、今後の活動のいっそうの前進に役立てたいとして「『九条の会』全国交流集会」を6月10日(土)11:00〜16:30日本青年館(全体交流集会)に全国から1,500名が参加して開催されました。
全国交流集会の概要は以下の通りです。
1.全体集会
小森陽一事務局長の挨拶本日は九条の会結成2周年であり、この間各地域と各分野に5,174の九条の会が作られた。休むことなく新しく九条の会が作られている。
諸方面でも九条の会を無視できなくなり、国会においても無視できなくなっている。全国の運動をネットワークすることに独自の努力をしていただきたい。九条の会は、今までこの国に無かった会である。この九条の会を広め、相互に結び合わせていただきたい。
呼びかけ人6氏出席(挨拶内容省略)
三木睦子、鶴見俊輔、澤地久枝、加藤周一、小田 実、大江健三郎の6氏
●新潟・九条を守る阿賀野の会(川上寿造)
阿賀野市は2年前に4町村が合併してできたが、元、前を付けると町村長などの三役経験者が多数いる。そのほとんどの方が呼びかけ人になってくれた。その他農業関係団体や元県議、宗教関係者、絵や音楽の文化関係者の方々など、35氏の呼びかけで結成された。
旧村部、町内単位の集会、毎月9、19、29日の宣伝カーの運行、13,000枚の大型ビラおよび加入申込書の全戸配布、手作りポスター700枚の掲出、各種学習会への参加。ホームページの立ち上げ、等をやってきた。会員1,000名、賛同者2,000名、有権者過半数20,000名署名の達成を目指している。元町村長が小集会の講師として大活躍している。
●千葉・小金原憲法九条の会(西宮香代子)
2004年11月に作った。15名で準備会。2ヶ月に一度の学習会、語り合う会、グッズもいろいろ作った。一周年記念集会160名。会員260名。
●沖縄・大学人九条の会沖縄(高良鉄美)
沖縄戦があり、目の前に米軍基地がある。沖縄の憲法記念日は沖縄が日本に復帰した1972年5月15日である。日本に復帰すれば基地がなくなると思ったが、かえって状況は悪くなっている。日本政府がやっていることと日本国民が考えていることは違うということが、今日よくわかった。大学人九条の会沖縄は2006年4月22日に設立された。
●大阪・府立夕陽丘高校九条の会(長尾ゆり)
大阪の府立高校192校中49校に九条の会がある。年々息苦しくなっていく中、日教組組合員、非組合員にも語りかけて、1年半前に職場九条の会を作った。昼休みに集会。教育の話、教育基本法改悪の話などをしているが、最後は九条の話になる。私は、卒業生に九条を守るように手紙(署名用紙)を出した。返事が返ってきている。
●神奈川・横須賀市民九条の会(岸牧子)
2005年5月29日に発足。現在会員数743名、11の地域の会と1つの青年の会ができている。学習会、講演会、映画界(ガラスのうさぎ)、また自分の話ができる学習会や地域ごとの集まりをやっている。本年5月3日には憲法九条全国意見投票に参加(改定に賛成141、反対719、わからない143、合計1,003)。
2.「我孫子市九条の会」からの発言
「我孫子市九条の会」では、岩井 康事務局長が第8分科会で発言しました。概要は以下の通り。
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『60年前の敗戦を期に「反省と将来にわたって軍備を持たない」ことを誓った憲法九条を守ろうと、我孫子市九条の会は、4月23日(日)我孫子市内の生涯学習センター「アビスタ」のホールで「我孫子市九条の会発足のつどい」を開催しました。つどい には学者、歌人、宗教者、医師、ピアノ教師、教員、保育師、看護師、労働者、年金生活者、青年、学生、主婦など各分野から170人を越える市民が憲法九条を中心とした日本国憲法を守ろうとの一点で参加し、熱気あふれる集会となりました。 |
私たちはさらに我孫子市全市民に、九条を中心とした日本国憲法を守り、発展させるための自主的創意的な活動の一つとして、市内在住のまんが家白六郎氏の作画による、まんが「手賀沼カッパ九太郎の憲法問答」(B−5、16ページ)を発行し、積極的に幅広い活用を行い、引き続き「我孫子市九条の会」への賛同の輪を広げ、全国のうねりに呼応していきます。』
●最後に九条の会からの訴えがあり、満場一致で確認されました。