![]() |
2006年10月 |
「国民投票法案」学習会報告
|
■9月2日、湖北近隣センターで、「国民投票法案」の学習会を開きました。 木村庸五さんの講演とその後、軍隊を持たない国、コスタリカを紹介する「軍隊をすてた国」の DVD 映画の上映を行いました ( 上映にあたり不手際があり、ご迷惑をかけました ) 。予想をはるかに上回る参加者で、会場は熱気に溢れました。 |
|
木村庸五さんは先の国会で継続審議になり、秋の国会で上程されようとしている「憲法改正国民投票法案」について10の問題点をあげ、憲法改正にはまず改正手続き法案=国民投票法案を成立してしまおうと、民主党案を丸呑みにしてでも法案を通そうという強い手法が採られるだろうと、私たちの関心と学習を促されました。 国民投票法」についての講演の後、木村庸五さんは様々な考え方の弁護士が全員所属しなければならない日本最大の法律家集団である「日本弁護士連合会」が、 2005 年 11 月に発表した 「立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理を求める宣言」 ( P.8参照) について話され、「宣言」を現在ある憲法論の中で最高水準のものであると評され、「宣言」の内容を解説しつつ、「宣言」の立憲主義論の立場からの自民党の憲法改正案を厳しく批判されました。 |
||
日本の全弁護士が加盟している日本最大の法律家集団である日弁連が「宣言」を発表し、「日本国憲法の理念や、基本原理を後退させることにつながる」として立憲主義の立場から「反対」の立場を表明したことは、法曹界に大きな影響を与えたのではないかと思います。 | |
講演:「ええっ、国民投票法案ってそういうことだったの〜?」(骨子) 講師:弁護士 木村 庸五 「我孫子市九条の会」会員 「日本弁護士連合会憲法委員会」委員 「 第二東京弁護士会憲法問題検討委員会」委員長 |
日本国憲法 【憲法の改正の手続、その公布】 第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が之を発議し、国民に提案 してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる 投票において、その過半数の賛成を必要とする。 A 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、 直ちにこれを公布する。 |
憲法改正国民投票法案の問題点 憲法を改正するにはその前段階で、改正手続き定める憲法改正国民投票法を作る必要があります。2004年12月に与党協議会が国民投票法案骨子を発表しましたが、その内容(表1を参照のこと)は新聞・雑誌への評論や報道・掲載の制限、意見広告の禁止などマスコミや国民を報道統制するごとき内容でした。また国会発議から投票までの国民への周知期間が30〜90日というきわめて短期間であり、投票方法も一括投票というものでした。この2004年12月案に対し各界から批判が続出し、2006年5月26日、表1にあるように、改善された内容の憲法改正国民投票法が自民・公明の与党から国会に出されました。 現在継続審議になっているところのこの国民投票法案の問題点について述べます。 ■国民投票法案の問題点 ■新憲法草案について 2004年6月からいろいろな改正案が出てきたが、現在、最終案となっている新憲法草案は焦点が絞られてだされている。焦点とは 1. 9条2項を廃止して自衛軍の規定を設ける。 自衛軍の位置づけを前面に出している。 2. 政教分離の緩和。 国の宗教活動を禁止した二十条三項を緩和。今までは国は心の問題には立ち入ってはならないとし、多数者が少数者を支配することは問題であるとしてきたが、社会的儀礼や習俗的範囲であれば、国や地方公共団体の宗教活動は許容されるとした。また政教分離のために公金や公の財産の支出・制限を定めた八十九条も緩和した。 3. 九十六条の憲法改正条項の変更 憲法改正は各議院の総議員の3分2以上の賛成で決議するのに対し、過半数の賛成で議決に変更した。 以上のように新憲法草案は、国家が人の心の問題にまで入り込むことを正当化し、戦力不保持の原則を撤廃し、交戦権の否定をなくし、さらに簡単に憲法改正ができるようにするという、焦点の絞まれたものになった。憲法改正条項が変われば細目は後日変更すればよいという考えである。 憲法改正の問題点 改憲論のどこに「反対」するのか、そのポイントは? ■「立憲主義とは何か」・・・・その定義を知り、改憲案の本質を見抜こう! 大日本帝国憲法(明治憲法)が現憲法に変わったのは、改正手続きはとられはしたが、実際は「改正」ではなく、「革命」であるといえます。法律的には8月革命説が通説です。現憲法の根本的なことを変えるのは改正手続きではなく、革命かクーデターでなければできない。 憲法の本質について、日弁連の「宣言」は ※「個人尊重」と「法の支配」について 「法の支配」とは「国家権力」より優先する」「法」があり、最高権力者も「法」に従わなければならないという理念です。 市民革命後も現代に至るまで「個人主義」と「国家主義」はせめぎ合ってきたし、対立は永久に続くでしょう。 ■平和主義について |
講演内容のCD を 制作中です! 木村 庸五さんの充実した講演内容を録音してあります。木村さんにその録音をCD化して配布することを了承していただきました。 CDラジカセで聞けますので、「憲法とは何か」「基本的人権とは」「平和主義」などの現 行憲法の基本精神を学び直し、自分のものにする強力な学習ツールとして活用していきま しょう。 CD-Rを制作実費で配布しますので、もうしばらくお待ちください (H) |
憲法・教育基本法をないがしろにする;高校統廃合反対! 142校中、17校減らす計画 |
県教育委員会は、第1期から第3期までに、142校を統廃合によって17校減らす計画です。今回は第3期で、第2・3学区の8校のうち4校を減らす計画で、この中に地元にある湖北・布佐高校を統合し、湖北高校を廃校にすることが入っています。 独自の教育課程を組み、成果をあげている湖北・布佐高校 湖北高校は、開校30周年になり、現在は1年4クラスの1クラス40人を半分に分け少人数授業を実施し、丁寧に行き届いた教育を行っています。また、湖北駅前の花壇の世話や通学路の清掃のボランティアなどをし、豊かな心の育成を図る教育実践にも取り組み、成果を上げてきています さらに、両校は2学年から生徒の将来を考えコース別の教育課程を組み、独自の教育改革を進めて進路指導面でも力を入れ、大学・専門学校への進学や就職にも成果をあげてきているところです。 中学卒業者数が増えているのに、なぜ統廃合なのか 県教育委員会は、平成元年のピーク時期を元にして、その後全県的に生徒数が減少してくるので高校再編の計画を立案したが、都市部である第2・3学区は5年後に中学卒業者数は約1700人も増加し、1学年6クラスで計算すれば、新たに7校増やさなければなりません。 行政改革の名の元に、歳出削減を隠れ蓑にして高校統廃合し高校を減らしていく事は、子ども達から学習する権利を奪うものであり、憲法・教育基本法の精神を踏みにじるものであると思います。 湖北・布佐高校の存続を願う声 広がる! 請願署名7,888筆集まる 湖北・布佐高校の統廃合を反対する声が上がり、両校の教員の有志とPTAの有志と市民の方々で、8月28日に「湖北高校と布佐高校の教育を守る会」を立ち上げました。 その後、我孫子・天王台・新木・布佐駅頭やエスパ・マルエツ・カスミ・マルヤ・東急のスーパー前での宣伝署名活動と、市内小中学校長や湖北台・湖北・新木・布佐地区の各自治会長宅を訪問し「湖北高校と布佐高校の存続を求める」請願署名を依頼しました。その結果、9月4日市議会に1300筆強の署名をもって請願したところ市議会も同会と同じ考えであり、ほぼ満場一致で県知事に意見書を提出する事ができました。9月28日県議会に7888筆の署名をもって請願してきました。同時に、議会文教常任委員と県教育委員にも請願書を提出してきました また、市長・教育長・市内小中学校校長会・市内小中学校PTA連合会も、湖北・布佐高校統廃合に反対し存続するよう県知事に意見書を提出しました。 このように、県議会・県教育委員会を動かすぐらいの、地元からの「湖北・布佐高校の統廃合反対」の声があがりました。 なくさないで!私達の母校 湖北・布佐高校 9月17日、守る会が主催して県教育委員会の担当者を呼んで説明会を行ったところ90人以上の参加者があり、その中に布佐高校生と湖北高校の卒業生が参加していて、「人とのかかわりが苦手で中学校で不登校になったが、一人一人を大切にしてくれる高校だったので自信が持て卒業する事が出来ました。」「小・中学校時代は病気がちで欠席が多かったので勉強が不安だったが、先生方の励ましで看護師になる夢を実現させる事ができました。」などの発言があり、大変な生徒達を大事に教育してくれた学校をなくさないでほしいと訴えられた。この発言は、参加者に勇気と感動を与えてくれました。 だからこそ、湖北・布佐高校を統廃合するのでなく、存続させなければならないと強く確信させられるものでした。 (KT) |
「パレスチナについて」〜その1
先月「パレスチナから憲法九条を考える」と題し、イスラエルの原子物理学者バヌヌさんのお話を紹介することができました。昨年パレスチナに行ってから、少しでもパレスチナの事を知っていただけたらと思っておりましたので、機会を与えていただけることは大変ありがたいことです。 今回は、パレスチナでNGOで活動している、藤屋リカさん(看護師、JVC−NGO 日本国際ボランティアセンター)のことをご紹介します。 その中でJVCは、延べ10年近くも、さまざまな分野で、その時その時に一番必要とされていることに目を向け、人道的支援を行ってきて、現在は、子どもたちの栄養改善の支援や、家族を殺されたりしてトラウマを抱えた子どもたちへの教育の支援などを行っています。 藤屋さんは、数年間パレスチナで活動をされて帰国し、国際協力について学ぼうと大学に入り、卒業後ふたたびパレスチナに入りました。それまでわからなかったことなども大学での学びを受けてから関わると、見えなかったことも見えるようになったとのことです。 子どもたちの教育キャンプでは、肉親や兄弟を殺された10代のある子どもは、将来の夢は?の質問に「イスラエルの戦車に飛びこんで死ぬこと、父の敵討ち」と無表情・無気力に答え、生きる希望がまったくない状態でした。そう答えた子が、支援プログラムを日々受けていく中で、3年後には、人との関わりもうまくなり、いつのまにか自分よりも年下の子どもたちの世話をするキャンプのリーダー役を積極的に果たすようになっていくようになりました。 小さな子どもたちと接することから、将来は、教師になって、自分と同じように親や兄弟を失った子どもたちを支えていきたいという夢を持つようになり、その顔には笑顔が戻り、同年代の子と遊ぶ姿は生き生きとして元気に溢れるようになっていったそうです。 支援教育プログラムは時間がかかり、すぐに結果が出てくるものではありませんが、地道に着実に、一歩一歩、憎しみや絶望から平和と希望へと意識を変えていくために活動されています。 |
《参考資料》 立憲主義の堅持と目本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言 日本国憲法制定からまもなく60年を迎える。 日本国憲法第9条の戦争を放棄し、戦力を保持しないというより徹底した恒久平和主義は、平和への指針として世界に誇りうる先駆的意義を有するものである。 |